中小企業のDXは何から始める?
少人数の会社・お店の進め方と最初の一歩
「DXを進めないと」と言われても、社員が数人の会社や1〜2店舗のお店では、何から手をつければいいのか分かりにくいものです。大きな会社の事例を読んでも、専任の担当者も予算の枠もない自社には当てはまらない、と感じる方も多いと思います。
この記事では、少人数の中小企業・店舗がDXを始めるときの考え方と手順を、できるだけ現場の言葉でまとめます。福岡でシステム開発とDX支援をしている立場から、最初につまずきやすい所と、その避け方もお伝えします。
DXとは何か(少人数の会社の場合)
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は、新しい事業をつくる、ビジネスモデルを変える、といった大きな話で語られることが多い言葉です。ただ、少人数の会社やお店にとっての出発点は、もっと身近な所にあります。
たとえば、次のような場面に心当たりはないでしょうか。
- お客様の情報が、紙のカルテ、Excel、スタッフのスマホのLINEに分かれている
- 「あの件どうなった?」を毎回口頭やLINEで聞いて回っている
- 見積もりや請求書を、前の書類をコピーして手で直してつくっている
- 月末に売上や件数を集計するのに、半日かかっている
- 仕事のやり方がベテランの頭の中にしかなく、新人に教えるたびに同じ説明をしている
どれも、今は誰かの頑張りで回っている仕事です。人が少ないうちは何とかなりますが、その人が休んだり辞めたりすると止まってしまいます。こうした仕事を、決まった場所に記録が残り、誰が見ても状況が分かり、集計が自動でできる形に変えていくこと。これが少人数の会社にとっての現実的なDXです。
新しいITツールを入れること自体が目的ではありません。紙をExcelに置き換えただけでも、情報が一か所にまとまり、誰でも見られるようになれば、それは立派な一歩です。逆に、高機能なシステムを入れても、結局みんながLINEでやり取りを続けていれば、仕事は何も変わりません。
何から始めるか(3つの手順)
少人数の会社でDXを進めるときは、全部を一度に変えようとせず、次の3つの手順で進めるのがおすすめです。
手順1:困りごとを書き出す
最初にやるのは、ツール選びではなく「困っていること」の洗い出しです。社長だけでなく、実際に手を動かしているスタッフにも聞いてみてください。現場の人ほど、毎日の小さな手間をよく知っています。
書き出すときは、「業務効率が悪い」のような大きな言葉ではなく、具体的な場面で書くのがコツです。
・しばらく来ていないお客様に連絡したいが、誰が該当するか分からない
・月末にスタッフごとの売上をExcelに打ち直している
・新人に施術の流れを教えるのが、毎回店長の口頭説明
このとき、「どのくらいの頻度で起きるか」「1回にどのくらい時間がかかるか」「誰が困っているか」も一緒にメモしておくと、次の手順で選びやすくなります。
手順2:一番効果が大きく、始めやすい仕事を1つ選ぶ
書き出した困りごとの中から、最初に取り組む仕事を1つだけ選びます。選ぶときの目安は次の3つです。
- 毎日・毎週くり返している仕事か:月に1回の仕事より、毎日の仕事のほうが、変えたときの効果を実感しやすくなります
- 関わる人が少なく、話が早いか:最初は2〜3人で回している仕事のほうが、決めごとが少なく進めやすくなります
- うまくいったかどうかが分かるか:「集計にかかる時間が減った」「聞いて回ることがなくなった」など、変化が見える仕事を選びます
たとえば「お客様の情報がバラバラ」と「月末の集計が大変」が両方あるなら、まず顧客と来店の記録を一か所にまとめると、集計も後からついてくることが多いです。仕事どうしのつながりを見て、土台になる仕事から始めると、後の手間が減ります。
手順3:小さくつくって、使いながら直す
最初から完璧な仕組みを目指すと、決めることが多すぎて止まってしまいます。まずは必要最小限の項目と画面でつくり、実際の仕事で1〜2週間使ってみてください。使ってみると、「この項目は使わない」「この情報がないと困る」といった声が必ず出てきます。それを反映して直していくほうが、机の上で考え続けるより早く、現場に合った形になります。
1つ目の仕事が回り始めたら、手順1のリストに戻り、次の仕事に取りかかります。この「1つずつ変えて、使いながら直す」をくり返すのが、少人数の会社のDXの基本の進め方です。
よくある失敗
DXがうまく進まない会社には、いくつか共通する進め方があります。始める前に知っておくだけで、避けられるものがほとんどです。
ツールから選んでしまう
「同業者が使っているから」「展示会で勧められたから」とツールを先に決めると、自社の仕事の流れに合わない部分が出てきます。合わない部分を人がカバーすることになり、かえって手間が増えることもあります。先に仕事の流れと困りごとを整理し、それに合う道具を選ぶ順番が大切です。
全部を一度に変えようとする
顧客管理も、予約も、見積もりも、勤怠も、と一度に切り替えると、現場は覚えることだらけになります。どこかでつまずくと「前のほうが楽だった」となり、全部が元に戻ってしまいがちです。1つずつ切り替え、慣れてから次に進むほうが、結果として早く進みます。
使う人を置き去りにする
社長や一部の人だけで決めて、ある日「明日からこれを使って」と渡すと、現場は使い方が分からないまま、元のやり方に戻ってしまいます。つくる段階から使う人に画面を触ってもらい、意見を入れること。使い方の説明や、困ったときに見られるマニュアルや動画を用意することも欠かせません。パソコンが苦手なスタッフでもスマホで迷わず使えるかどうかを、基準にしてください。
つくって終わりにする
仕組みは、使い始めてからが本番です。お店のメニューが変わる、スタッフが増える、扱う仕事が変わる。そのたびに項目や画面を直さないと、少しずつ実際の仕事とずれていき、また紙やLINEに戻ってしまいます。誰が直すのか、直したいときにどこに相談するのかを、最初に決めておきましょう。
紙と新しい仕組みを並行で続ける
「念のため」と紙の台帳も残しておくと、どちらが正しいのか分からなくなり、二重の手間になります。切り替える日を決めて、その日からは新しい仕組みだけを使う、と決めたほうが定着します。
業種別・最初の一歩の例
どこから始めるかは会社によって違いますが、業種ごとに「最初の一歩」になりやすい仕事はあります。ここでは考え方の例として紹介します(特定の会社の実績ではありません)。
| 業種 | よくある困りごと | 最初の一歩の例 |
|---|---|---|
| 美容サロン | 顧客情報が紙のカルテとLINEに分かれている。休眠客が分からない | 顧客と来店の記録を一つの台帳にまとめ、最後の来店日で並べられるようにする |
| 外壁塗装・リフォーム | 問い合わせから見積もり、施工、引き渡しまでの進み具合が担当者の頭の中にある | 案件の一覧をつくり、「現地調査待ち」「見積もり提出済み」などの状態で並べて見えるようにする |
| 飲食店 | 仕込みや閉店作業の手順が人によって違う。シフトの連絡がLINEで流れてしまう | 開店・閉店のチェックリストと手順書を一か所にまとめ、スマホで確認できるようにする |
| 不動産 | 問い合わせのお客様の希望条件と、その後のやり取りが担当者ごとに残っている | 問い合わせを一つの台帳に集め、希望条件と次に連絡する日を記録する |
| 士業・事務所 | 書類の受け取りや期限の管理が、Excelと個人のカレンダーに分かれている | お客様ごとの手続きと期限を一覧にし、期限が近づいたら知らせる |
どの業種でも共通しているのは、「情報を一か所に集める」ことが最初の一歩になりやすいという点です。情報がまとまれば、通知、集計、AIでの下書きといった次の手が打てるようになります。
情報を集める場所としては、表計算のような感覚で使えるデータベースが向いています。たとえばLark(ラーク)のLark Baseなら、チャットや通知と同じ場所で顧客や案件の台帳をつくれます。くわしくはLark導入支援のページで紹介しています。
外部の支援を頼むときの選び方
社内に詳しい人がいない場合は、外部の会社に支援を頼むのも一つの方法です。頼む先を選ぶときは、次の点を確認してみてください。
- ツールの話より先に、仕事の話を聞いてくれるか:最初の打ち合わせで、今の仕事の流れや困りごとをくわしく聞いてくれるかどうか
- 小さく始める提案をしてくれるか:いきなり全部をつくる提案ではなく、最初の1つから始める進め方を示してくれるか
- 実際に動く画面を見せてくれるか:資料や説明だけでなく、試作の画面を触りながら決められるか
- 使う人への説明まで含まれているか:マニュアルや動画、使い始めの説明会など、定着までの手当てがあるか
- つくった後に自社で直せるか:項目の追加など簡単な変更を、社内でできる形にしてくれるか
- データが自社のものとして残るか:契約をやめたときに、データを取り出せるか
DXの支援には、ツールの導入だけを行う会社、システムを一からつくる会社、研修やコンサルティングが中心の会社など、さまざまな形があります。自社に必要なのが「道具」なのか「仕組みづくりの伴走」なのかを考えてから相談すると、話が早くなります。シクミカプラス+の福岡のシステム開発・DX支援も、この確認点を満たす進め方を決まりごとにしています。仕組み化の考え方は業務の仕組み化のページでも紹介しています。
補助金を使う場合の注意
中小企業・小規模事業者のITツールの導入を支援する国の補助金として、「IT導入補助金」があります。2026年度は「デジタル化・AI導入補助金」という名前で案内されています。
補助金は、対象になるツールや経費、申請の時期や手順が公募の回ごとに決まっており、年度によっても変わります。使いたい場合は、必ず公式サイトで最新の公募要領を確認してください。また、補助金ありきでツールを選ぶと、先に書いた「ツールから選んでしまう」失敗につながりやすい点にも注意が必要です。まず困りごとと最初の1つを決め、その上で使える制度があるかを確かめる順番をおすすめします。
参考:デジタル化・AI導入補助金 公式サイト(独立行政法人中小企業基盤整備機構) https://it-shien.smrj.go.jp/
シクミカプラス+のDX支援
シクミカプラス+は、福岡県を拠点に、少人数の会社やお店の仕事を、使い続けられる仕組みに置き換えるお手伝いをしています。進め方は、この記事でお伝えした手順そのままです。
- 無料相談:困っている仕事と、今使っている紙・Excel・ツールを伺います
- 仕事の整理:流れを図にして、どこから変えると効果が大きいかを一緒に決めます
- 試作:実際に動く画面をつくり、触っていただきながら直します
- 本番の構築:データの移行や通知を整えて、使い始めます
- 定着と改善:使い方の動画とマニュアルを用意し、使い始めてからの手直しも続けます
顧客・案件・予約の管理や社内の情報共有など、Larkで足りる部分はLarkを使い、足りない部分だけをオリジナルで開発します。見積もりの下書きや案内文など、AIに任せられる仕事を組み込むこともできます(AI導入支援・AI研修)。くわしい進め方と、つくっているシステムの画面は、福岡のシステム開発・DX支援のページでご覧いただけます。
「うちの場合、何から始めればいいか」を一緒に整理するところからでも大丈夫です。費用は、つくる範囲や使う人数をお話を伺ってからお見積りします。
よくある質問
社員が数人の会社でもDXは必要ですか?
パソコンが苦手なスタッフばかりですが、大丈夫ですか?
今のExcelのデータはむだになりませんか?
DXにはどのくらいの期間がかかりますか?
今の紙・Excel・LINEでの仕事を伺い、どこから変えると効果が大きいかをお伝えします。初回のご相談は無料です。

